ウォッチング ::: 第7回 :::

ここはデジタル工房スタッフのひとり言のページです。
工房から周辺の地域を眺めて、 生活文化の香りをみなさんにお伝えします。


スクール&ラボの「デジタル工房」は、池袋から東武東上線で20分の「志木駅」東口を降り、歩いて2分のところに在ります。「志木」は東京への通勤圏にあって、ベットタウンとして急速に開発されたまちです。高層のモダンな住宅群の志木ニュータウンは、都市開発の優れたモデルとして全国的にも知られています。江戸時代からこのまちは、荒川の支流である新河岸川の舟運で栄えてきました。古い歴史をもち、戦前までは、静かなたたずまいをもったまちだったのですが、最近では、ショッピングに便利な大型店舗の進出も目覚ましく、まちの風景は急速な変貌を遂げました。

ウォッチングの第7回は
「朝日屋原薬局」建物7棟が
国の有形文化財に 登録されたことについてです。

産経新聞 平成15年3月22日(土)より
引用させていただきました

第1回から第6回までのウォッチングはこちら
第1回第2回第3回第4回第5回第6回第8回
志木市本町の旧奥州道に明治20年(1887) 創業した「朝日屋原薬局」の建物七棟が、国の有形文化財に登録された。登録には「次々に古い街並みが消える中、昔の面影を持つ薬局の姿を 残したい」、そんな三代目店主の思いがあった。
建物は20日の文化審議会で文部科学大臣に 答申された。

登録を受けたのは「朝日屋原薬局」の、主屋、離れ、物置、洋館など七件。主屋など主だった部分は明治45年建築された。
縦長の約1400uの敷地に並ぶ建物は、 「明治から昭和初期の老舗薬局の店構えと建物構成がよく残されている」と判断された。

「主屋」は瓦屋根の切り妻で重厚な造り。大黒柱以外はクロマツを使っており、「建築するにあたって、飯能の山を一つ丸ごと買った」と伝えられている。
鯉を放した池に面した「離れ」では、昭和初期、地域の有力者を集めた宴会が何回も開かれた。

現在の主人は、東京薬科大名誉教授の原昭二さん(76)。
祖父の代に、舟運の拠点として栄えた現・志木市本町に店を構えたという。店では現在も薬の販売がされている。

原さんは「重厚な建物なので、壊すにも金がかかる。放っておいたら周囲の建物が次々と改築されたので、うちの建物が古い貴重なものになってしまった」と話す。
開発業者などが持ち込む、「料亭にしたら」「ギャラリーにしたら」といった提案も断った。

登録してしまえば、いつまでも建物を残さざるを得なくなる。
「最近の薬局は、全国チェーン店化するなど形態をどんどん変えている。昔のままの姿を伝える薬局が存在してもいいじゃないか」と積極的に登録の手続きを取った。

物置などには、明治期の薬局に関する貴重な文献も多く残されており、「資料を整理して、将来は何かにいかしていくことを考えてみたい」(原さん)という。

県内の登録有形文化財は、今回の7件が加わったことで55件になった。